20041205
そーいや子供のころから一度たりとも「将来○○になりたい」とか「尊敬する人は○○です」的なことを思ったことがない。理由は単純で、子供のころに関しては「自分は大人になるまで生きているだろうか」という不安しかなかった。成人してからあとは、死ぬことしか考えてなかった。もちろん本当は死にたいわけではなく、「死ぬ」という絶対の逃げ場を用意し、それに対する恐怖を自覚することで、「まだ生きてるほうがマシ」という理由で生きようとしていたのだと思う。そして生きる理由に関しては「こんなに楽しいフィクションの世界があるんだから」というものがあった。アブねえなあ。棺桶に片足つっこんで生きてたらしい。死ぬのが怖いから生きてるって、人間として本当に最低の最低ラインなことないか(笑)。あえて「(笑)」って使ってみた。いまこの瞬間に死にたいと思ってる人は、自分がなぜ死にたいかよく考えてみるといいです。きっとヤな真実見えますから。それでも見たくないなら死もまた選択のひとつでしょう。でも人に迷惑かけないほうがいいと思いますよ。この世は生き残りゲームの舞台ですが、そのルールから抜け出したければ勝者であり続けるしかありません。勝ったら偉いですから。多少のワガママは通用します。しかし敗者はまだルールの内部です。だから、社会の迷惑にならないよう、ひっそりと死にましょう。そして実行されたときには、残された人が悲しくなります。ひどい話だ。
まあ、なんにせよ、必然なんてそう多くはありません。死んだほうがマシなんて事態も、そうはないと思う。
話逸れました。
現在に関しては「まゆみさんと見る世界」「まゆみさんと生きる世界」は非常に愉快であるため、その時間を一瞬でも長く味わうために、俺は生きている。世界は非常に広く複雑であり、眺めているだけでも退屈はしない。俺はフョクションの世界の完全さ、美しさ、そして絶望をこよなく愛するものですが、ゲームとしての複雑さ、おもしろさは現実に劣ると考えます。ただ、現実は醜悪ですので、これを自分たちの生活圏から排除する必要はあります。
脳内の王国の豊穣さと、現実をゲームとして割り切るだけの狡猾さと、そして現実から隔離された楽園を守りきるだけの力をバランスよく持って、うまく引きこもりとして生きられればこれに越したことはありません。なかなか。実現は難しいですが。
話逸れまくったので、もう段落をあらためてしまいますが。
そんなわけで、俺にとって重要なのは、常に「現在」のみだったりします。現在、この瞬間楽しければそれでいいわけです。もちろん「将来の現在」を守るだけの布石は考えますが、それは未来とは違うです。未来というのは、抽象的な表現です。そんなものは俺にはありません。強いて言えば精神的に引きこもっていた十数年にはあったかもしれません。「いつ訪れるかわからないが、いつか訪れるであろう、萌え惚けたあげくの路上でののたれ死に」という漠然とした未来が(笑)。
現在の俺に用意されているのは、単なる一本の線です。それは死の瞬間までまっすぐ続いています。そう、いつか俺は死ぬのです。このテキストを読んでる人も読んでない人も、いつかは必ず死にます。カレンダーを数十枚も買ってめくって捨てたらもう死にます。もっとも俺はカレンダーなんか買ってませんが。
どっちにしろそう長くない時間です。夏休みの予定表と同じように人生の予定表を作るのだって可能なくらいに短い。そのことに気づいた瞬間、俺は「こうありたい」というものを、すべて自覚的に捨ててしまったのだと思います。結婚するまでは不可避的に持てなかった将来像というヤツですが、それを持つことが可能であるいまになって、わざわざ捨ててしまうってのも頭の悪い話ですが。
でもまあ、あれです。やりたい放題やってれば、すべての瞬間において「無駄なくらいに十全に自分である」ことが可能なわけです。俺は単に「自分である」ことを選択し「なりたい自分」を捨てました。かわりに、やりたいことが全部できます。理屈でいえば世界征服もできます。なにしろ「やりたいことは全部できる」のですから。もしやりたいことがなくなれば、それこそ死なない程度に金だけ稼いで、あとはぼんやりしてりゃーいいんです。批判者はいません。楽園を築きますから。
ちなみに最近文章がなんか悪い人っぽいのはストレス溜まってるだけです。やりたい放題の人だからこそ、ストレスは簡単に溜まったりします。あれですよ。悪い人ぶりたいだけ。思春期の少年が反社会的になってみたいのと同じ。俺は孤独だぜ。俺は強え。仲間なんかいらねえよ。恐れられる自分という自己像にうっとりする思春期の少年ですよ。34歳にもなって。
それらの少年と違うところがあるとすれば、本当は社会に受け入れてほしいなんてカケラも思ってないところでしょうか。社会は観察対象であって参加するもんじゃないです。生活上参加せざるを得ないから、ゲームと割り切って楽しむんです。本当は別にしたくないんです。だから金が欲しいんです。遊んで暮らせる金があれば、ただ遊んでればいいんですから。
小倉優子なんとかして。頼むから世のなかの人はあれを許容しないでくれ。さっきからワンダモーニングショットのCM乱れうち。チャンネル変えても乱れ打ち。こんな時間帯にCM流してもしょうがねーんじゃねーのか。あと小倉優子っていうと、よくヤングアニマルの表紙になってるのですが、ぎくっとするくらい胴が長いです。足が短いということでもありますが。あれも魅力のひとつなんでしょうか。
以下は妄想です。激しく自動筆記。
そんなこんなで終了。…ああ、デアボリカが俺を待ってる…。温泉行きたい温泉。大分空港にも行きたい。乗船券はホーバーのりばでお求めくださいませ萌え。テレビに映る文字をそのまま写してるだけです。来年の1月15日には仕事を辞めます。退職金でうはうはだし、のんびり旅行にでも行くのです。小さくて四角い車を買って、内装をお部屋仕様にして、車のなかでてきとーに寝泊まりしてスタッドレスタイヤを履いて、雪のある場所をめざしてのんびり走るのです。眠くなったら寝て目が覚めたらガスコンロでお湯わかしてコーヒー作って一服しながら飲みます。見かける珍しいコンビニとかスーパーてきとーに寄ってまゆみさんと一緒に眺めて、古本屋を見つけるたびに寄り道してムダな本を買ってはまゆみさんに文句を言われ、しっかし温泉若おかみの旅情殺人推理って、発狂しそうなタイトルだな。なんか義母濡れた蜜壺の禁断の滴りとかと思考法としてはぜんぜん違ってないんじゃないか。いやそんなことはどうでもよくて、それで出先でIRCでしか知らなかった人たちと会って四方山話をしたり、温泉を見かけてたは立ち寄りってことで料金の高さにビビりながらも結局は1000円払ってのんびり入ってみたり、死にかけの古いゲーセンがまだこの世に生きていた事実に驚愕しなからなかに入ってみると、そこにはクレーンゲームがあるのだが、景品はカプセルに入った女性用下着だったりして、そんな状況に呆れながらカップスターの自販機でカップスターを購入しお湯を入れたはいいが、箸が入っているべき所定の位置にはお約束のようになにも入っておらず、てゆうかカップスターの上ブタの残骸が入っており、慌てて車に戻って箸を取ってきて、暖房もまともに効いていないようなゲーセンから雪の降る外を眺めながらカップスターを食う。
とうぜんデジカメも持っていくので、行く先々でにゃんこの写真を狙うのだが、なかなかうまくいかず、そうこうしているうちにファインダーに犬が乱入。まゆみさんが激怒。それをなだめてるうちにうさぎの大群が現れ、俺を取り囲みみんなでスタンピングをしている。そのあまりの光景に呆然と見入っていると、うさぎはいっせいに移動を開始する。慌ててあとを追うのだが、当然足元なんか見てるはずもなく、足元にある雪渓に気づかず、その深い亀裂に落ちる。なぜ秋田県横手市でこんなクレバスが、と思ってるヒマもなく寒気はしのびより、手足はかじかみ、それまでの人生が走馬灯のように巡る。しかしその前半生を巡るのは少女マンガとかエロゲとかそんなんばかりで俺の人生いったいなんであったのかと深刻に悩む俺。悩んだところでやっぱ萌えだからまあいいか、という結論に至ったところで「なにが萌えだこの馬鹿」とまおみさんが抜け道の向こう側で呼んでいた。気づいてみると、そこはクレバスではなくて、雪バンジーのステージであったのだ。
せっかくでるから、このへんを散歩しようということになる。が、折からの湿った雪がよりいっそう激しくなり、このまま散歩なんかしていたはヤバいのではないか、という話になる。それでもかまわず歩き始めるのだが、なにせ湿った雪。傘も持たずに歩いていると、髪は濡れるわ足も水が染みてくるわで、こりゃヤバいなあと思ったところでサークルケーサンクスを発見。即座になかに入る。
内部の雰囲気はなんか薄暗くてコンビニにあるまじき状態であるなあと怯える。棚を見れば商品はなくスカスカの状態。最低の経営状態だねえ、とかまゆみさんと話していると、ようやくレジの人が出てきた。レジの人は黒柳徹子だった。能面のように張りついた無表情で「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」「アフリカの飢えた子供たちが」とレジ横の募金箱を正面に突き出して迫ってくる。募金箱をよく見ると、なかには血痕のついていちまんえんさつとかたくさん入ってて超怖い。俺とまゆみさんは脱兎のごとく逃げ出すが、入口の自動ドアの前に黒い隼のごとく移動して立ちふさがる黒柳。絶対絶命逃げ場なし。切羽詰まった俺は大声で堂々と名乗りを上げた。「実は俺こそがいろんな意味で飢えた子供です」。その声の大きさと、意味内容のさっぱりさ加減に黒柳が一瞬躊躇した。
それを見逃すまゆみさんではない。必殺技が発動した。「サントリーウーロン茶の2リットルダンボールあたーっく」。ずこすっ。ほとんど紙の世界からやってきたとは思えない異様な重低音を響かせ、黒柳の頭にダンボールがめり込む。いまだ逃げろ、という俺の叫びを合図にダッシュ。まず俺が黒柳をなぎ倒し、まゆみさんがそれを登山靴で踏みつけ乗り越える。「ゆっ」「にっ」「せっ」「ふーーーーッ」断末魔の悲鳴を上げて黒柳は両手を天高く突き上げた。それが黒柳の最後の動きだった。黒柳の体は音もなく崩れていき、黒い粉末のようなものになる。開いたり閉じたりを意味もなく繰り返している自動ドアからときおり吹き込む強い地吹雪が、その粉末をいずかたともなく運び去って行った。
「あぶなかった…」
「ほんとだね…。でもあれ、なんで粉になっちゃったの?」
「セラムンの昔から悪者はあんな感じだ。くれんじんぐーっとか絶叫してな」
「別に黒柳悪者じゃないと思うけど」
「でも人間でもないよな。ただの人間にあの髪形は維持できないだろう」
「それもそうだね。あはははは」
「あははははは」
こうして二人は魔のサークルケイサンクスをあとにしたのだった。
その後の二人の旅は困難を極めた。次から次へと襲い来る異形の闇のものたち。俺はダイハツハイゼットの強化を考えた。ふつうの車ではこれからの旅を続けることは困難だと考えたからだ。
まずバンパーだ。最近の車のバンパーはだいたい話にならない。やはり鉄。いや、鉄では足りない。地上最強の物質。そう、それは郵便自転車のフレームだ。壊したくても壊れない、バイクと勝負しても勝つ、などさまざまな伝説を持つ魔性の物質、それが郵便自転車だった。これに頑丈さで勝つ物質はかろうじてボルボ社製の車くらいのものだが、これは高くて手が出ない。郵便自転車ならば、本局であればほぼ確実に複数台ある。
俺は最寄りの大きな郵便局である本荘市の本局を狙った。盗んだのでタダで手に入った。その自転車を分解し、フレームだけにする。それを車のバンパーに溶接した。これで前方向からの攻撃はすべて完璧にはねのけるはずだった。
「じゃあ、試してみる。まゆみさんは危ないからおりてて」
「わかった」
なるべく頑丈なものがいい。周囲を見ると、コンクリートで固められたガケを発見した。そこにブチ当たるような丁字路を探す。すぐに見つかった。
あとは実行あるのみだ。俺は丁字路を数百メートルほど走った。そして崖に向かってアクセル全開で特攻した。景色がものすごい勢いで流れ、視界がどんどん狭くなる。コンクリートの灰色がフロントウィンドウをいっぱいに占領し、ついに俺のダイハツハイゼットは崖に衝突した。
一瞬だった。当たった、という衝撃は確かにあった。ガクンっとハンドルを通じて体にすさまじい反動が来る。しかし、その後はあっという間だ。郵便自転車はコンクリートをやすやすと切り開き、山を構成する地面を掘り進む。視界が急に明るくなって俺は急ブレーキをかけた。
…山の反対側だ。
振り返ってみると、山に郵便自転車のフレーム型に穴があいていた。穴のはるか向こうに小さな光が見える。いったい何メートルを掘り進んだのか。俺は郵便自転車で随道を一つ作った。いや、作ったのは俺ではない。赤いボディの超硬物質、前文明が残した最強にして最凶の負の遺産、郵便自転車がこれだけのことをしてのけたのだ。俺は身震いを覚えた。…これは魔物の撃退どころの騒ぎではない。その気になれば世界を滅ぼすだけの力を持っている。
…郵便自転車。
俺はそれが持つ力のことを一瞬たりとも忘れてはならない。これは自衛の手段だ。俺とまゆみさんを危険から守るための。決してこの力がこの世を支配するために有効であるなどとは考えてはならない…。
俺はそのときまだ、自分のなかに芽生えた暗い欲望のことを自覚していなかったのだ。
時は流れた。
あれから1年。もはや俺たちを襲う魔物など、ほとんど存在しなくなった。彼らには彼らのネットワークがあるのだろうか。なにしろ彼らは郵便自転車に触れることすらできない。郵便自転車が発する赤い波動が、彼らの存在を根底から破壊し尽くす。それは人間とて例外ではなかった。
「うっわあの車超ありえないんだけど」
とかゆって郵便自転車に触れた男子高校生は瞬時にして塵と化した。センターラインをオーバーしてきた対向車も同様の運命を辿った。もはや車が前進している限り、俺に敵はなかった。
「ねえ、最近あんた、やりすぎじゃない?」
まゆみさんが心配そうに言う。
それは、国道2号線を西へと走っているときのことだった。
「なにがー?」
車窓から流れ込む春の気配を感じさせる風を顔に受けながら、俺は上機嫌で運転していた。
「この車だよ。いったいどれだけの魔物を犠牲にしたと思う? ううん、魔物だけじゃない。人間だって…こんなのおかしいよ」
「おかしいたって…向こうから当たって来るんだからしょうがないじゃん。俺は、やりたくてやってるわけじゃない」
「だからって殺していいってことはない」
「じゃあどうすればいいんだよ。いまさら止まることはできないよ? 止まった車から下りた瞬間、俺らの命、なくなるよ」
「だからって…」
「どうすればいいんだよ、つまり!」
絶叫した瞬間、俺のなかで、ドクン、と脈打つものがあった。
あー。もういいや。飽きた。
寝る。このあと俺は「郵便人間ジテンシャー」に変身し、悪逆の限りを尽くすわけですが、最後にお約束どおり、まゆみさんが俺の前に立ちはだかり「これ以上悪いことをするのはやめて! そんなの、そんなの悲しすぎるよ…」と迫真の演技をし、俺がまともに人間に戻ると「この馬鹿が!!」とかゆって頭殴られるわけですが、それでことが済むはずもなく、俺は一億総スカンを食らって、ボコられては生き返り、ボコられては生き返りを一生繰り返すことになるのでした。ちなみに郵便自転車号はどうなるかというと、ロケットにくくりつけられて種子島宇宙センターから打ち上げられ、惑星が一直線に並んでる状態を一瞬で駆け抜け、火星から冥王星まですべて穴があいてしまう予定です。
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