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20050526


 研修三日目。
 今日は朝から商品の搬入だったんだけど、モノが雑貨だけだったので、俺はほとんど不参加。で、かわりにシフトを作る。思ったより人員が集まってしまい、多少オーバー気味のシフト。売り上げが稼げないか、あるいはだれも辞めない(当初の予定では、仕事を厳しくすれば辞める予定だったんですけど)場合、人件費がオーバーし、俺らの生活費が出ないことは必須。
 午後からは研修。本部から来たトレーニング担当の人と二手に分かれて研修三昧。店の雰囲気がよいせいか、けっこう厳しい研修であるにもかかわらず、それなりに一生懸命やってくれている。
 トレーニングの内容のひとつに、実際の店のオープン後も元気な声であいさつできるように、可能な限り大きな声を出すというのがある。
 「声を出すことは恥ずかしいかもしれないけど、思い切り出してくれ」
 ということで、まずは俺自身が気が狂ったような大音声を絞り出す。そして、それに続いてアルバイトに限界までの大声を出してもらうわけだ。
 それが終わったら、店の仕事、目指すべき方向性、そのへんを一人対一人ならまず無敵といっていい俺の説得力をもって諄々と語る。たまに誘導尋問で「どんなお店はいやだと思う?」「どんなお店がいいと思う?」などと交えながら。もちろん事前に答えは別のかたちで与えてあるわけで、それを「自分の頭で考えて導き出した答え」として再確認させる行為なわけだ。ある意味ものみの塔の機関紙なんかとやりかたは非常に近い。そこまでやって、やる気いっぱいで仕事に望もうと、なんだかものすごく活力に満ちあふれてしまったように見えるバイトを見てて、ふと気づくことがあったんですよ。
 ああ、これ人格改造セミナーとやりかたそっくりなんだ。
 俺としては、いままでの経験から、いかにバイトがやる気になってくれるか、店の方針を理解して俺に協力してくれるか、という一点を考えてたどりついた方法論に、本部のトレーニングの人が持ってきた方法論を重ね合わせただけだ。
 そりゃあ新人研修の達人って言われるわけだよ。
 俺のやってることは一種の洗脳だったみたいです。どうやら。これでもやる気が出なかったら、次は恫喝。
 「いい? あと4回元気な声が出なかったら、俺、ちょーっとプチッってイっちゃうかもしんないよー?」
 とかゆったあとに、
 「んじゃ元気出して行こうか。だいじょぶ。君ならできる。テンション切れていけいけいけいけいけー」
 と笑顔と勢いで説得。
 そして自分の望むような声が出たら、思いっきり褒める。
 まあ、辿り着くべくして辿り着いた方法なんで、別にそれをやめようとかは思わないわけなんですけど、それにしても、これは悪どいな…。


 まあそんなわけで、日々洗脳に勤しんでます。
 オープンまであと4日。いい店作りますよ。洗脳までしてバイト育成に励んでるからには。でも、だいたい有効に機能してる研修システムって結局洗脳だよね。



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